医師の離婚で注意すべき点は何ですか。

弁護士が実感する医師の離婚の特徴とは?

一般に、医師は離婚率が高いと言われていますが、客観的裏付けのある統計的なデータはありませんので、実際のところは不明です。

弊所の弁護士は、医師の離婚や医師との離婚について取り扱い経験が多数あります。私が取り扱ってきた中で実感する医師の離婚の特徴としては、離婚原因に不貞行為が多く、教育費が高く、一般よりも共有財産として不動産や高級車を持つことが多いということが挙げられます。

医師は金銭的な余裕がある上、不規則な勤務形態でストレスが多く、職場に異性が多いため、不貞行為をしてしまうケースが多いようです。

また、医師は子どもを医師にしたいと考える方が多く(この点は弁護士と異なる気がします)、私立中学校に中学受験をさせるケースが多いです。愛知県下でも、T中学校、N中学校など医師の子供が多く通う私立中学校が多数あります。私立中学校では、学費そのものというよりは、お金がかかる部活動に参加し、かつ中学受験から塾に通うため、教育費が高騰する傾向にあります。

弁護士の実感としては、医師は比較的不動産や高級車を持っている方が多いです。もちろん所得が多いことによるものもありますが、時間的制約があるためか、不動産や自動車等身の回りにお金をかける方が多い印象です。

そのため、医師の離婚においては、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料のすべてが問題となるケースが多いです。

ここでは、高額な教育費の問題、財産分与の貢献割合に絞ってお話しします。

医師の離婚では、高額な教育費により、婚姻費用や養育費が算定表よりも高額となるケースがあります。

高額な教育費を支出している場合、算定表や標準算定方式の計算方法を修正するケースがあります。

ここでは、教育費に絞って記載します。給与所得者の場合には2000万円、自営業者の場合には1409万円を超える高額な所得を有している場合の婚姻費用や養育費の計算に関しては、離婚コラム「高額所得者の婚姻費用・養育費はどのように計算されますか」をご覧ください。

まず、私立中学・高校の学費に関しては、どのように考えたらよいでしょうか。

婚姻費用の算定表や標準算定方式では、公立中学・高校の費用を指数化して計算されていますが、私立中学・高校の費用は考慮されていません。そのため、公立中学・高校の費用と私立中学・高校の費用との差を算出し、これを(基礎)収入に応じて按分するという修正方法がよく利用されています。なお、高校に関しては、教育無償化の対象ですが、所得制限がありますので、現実的には無償となるケースは少ないものと考えます。

また、医師の離婚では、私立中学・高校の問題だけではなく、高額な学習塾やゴルフ・スキー・アメリカンフットボールなど習い事・部活動があるケースも多いです。特に、医師との離婚して子を監護していこうとされている方にとっては、この諸費用の分担は大きな問題です。

別居前にすでに高額な学習塾や習い事を行っており、夫婦間の同意があるとみることができる場合で、収入との対比で無理がないとみられるケースでは、その負担に関しても(基礎)収入に応じて按分するという考え方があり得るところです。

医師、特に開業医に注意すべき問題として、財産分与の貢献割合が5:5とならない場合があります。

財産分与というと、たいていの場合には、貢献割合を5:5として、2分の1ずつの割合の財産分与を行うことになります。

しかし、極めて特殊な事例ですが、親から受け継いだ開業医の方の離婚や個人の経営の才覚で大きく所得を伸ばした医師の離婚の場合には、必ずしも2分の1となるとは限りません。

裁判例では、例えば、大阪高等裁判所平成26年3月13日では、医師自らが経営する医療法人の出資持分を共有財産とした上で、「高額な収入の基礎となる特殊な技能が、婚姻届出前の本人の個人的な努力によっても形成されて、婚姻後もその才能や労力によって多額の財産が形成されたような場合には、そうした事情を考慮して寄与割合を加算することも許容すべきである」とし、医師6:配偶者4の貢献割合としました。

財産分与の割合は、夫婦の貢献割合(寄与割合)に応じて決せられるとされていますが、このケースでは医師と配偶者で、共有財産に対する貢献割合を修正しました。

配偶者の病院で勤務実績、職務内容、医師免許の取得時期、開業の時期等様々な要素を考慮することになるため、一概には言えませんが、医師の離婚や医師との離婚の場合には貢献割合の修正もあり得ると考えたほうが良いです。

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