離婚するときに知っておくべき戸籍のこと

結婚した場合には新たに戸籍が編製され、筆頭者の氏を名乗ることになります。

男女が結婚すると、もともとの戸籍(多くの場合には両親の戸籍)から出て、新たに戸籍を作成することになります。妻が夫の氏を名乗る場合には、夫を筆頭者として、新戸籍が作成することになります。

「氏」は、戸籍と密接に関わっています。戸籍の筆頭者の「氏」が戸籍に入っている全ての人の「氏」となります。

2人の間に子供が生まれると、子供が戸籍の中に記載されることになります。2人目が生まれれば、もう1人戸籍の中の子どもが増えるわけです。

このコラムでは、「姓」、「苗字」ではなく、法律上の呼称である「氏」に統一記載しておりますが、読みやすさを重視したものであり、特に他意はありません。3つの言葉は生まれた歴史的経緯は異なるようですが、現在ではほぼ同じ意味で使用されています。

離婚する場合には、「もとの戸籍にもどる」「新しい戸籍をつくる」ことを選択する必要があります。

では、離婚する場合には、戸籍はどのように変更されるのでしょうか。

離婚届には、「もとの戸籍にもどる」「新しい戸籍をつくる」ことを選択するチェック欄があり、そのどちらかを選択する必要があります。

このチェック欄は、①今後旧姓に戻るか、②夫の氏を続けて名乗るか、③そして子供たちの氏をどうするかによって、選択が異なります。

子供がいない場合には、比較的単純です。

妻が両親の戸籍から夫を筆頭者とする戸籍に入ったケース(妻が結婚の際に夫の氏を名乗るケース)では、妻は「もとの戸籍にもどる」を選択すれば、両親の戸籍に再び入ることになり、旧姓に戻ることになります。

一方で、長期間使用した結婚時の氏を名乗りたい場合には、姓は筆頭者の氏を名乗る必要があるという戸籍のルールがありますので、「新しい戸籍をつくる」を選択することになります。「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」(戸籍法77条の2の届)をして、自分を筆頭者とする結婚時の氏の戸籍をあらたに編製することで、結婚時の氏を続けて名乗ることになります。

なお、「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」は3カ月以内にしなければならず、期限を過ぎてしまうと新たに家庭裁判所から「氏の変更」の許可をある必要がありますので、注意が必要です。

離婚したとしても、子どもの氏(戸籍)は手続きを取らなければ、特に変更はありません。

夫婦が離婚したとしても、子どもの戸籍には当然には影響はありません。

例えば、妻が離婚により旧姓に戻ったケースでは、子どもはそのまま夫の戸籍に入ったままとなり、氏は戸籍の筆頭者の氏を名乗るというルールから、子どもは夫の氏のままとなります。

子どもの氏を変更する場合には、家庭裁判所から「子の氏の変更」の許可を得なければなりません。

子どもの年齢が十分に大きく、夫の氏のままを選択する場合には、それでも良いのですが、子どもの年齢がまだ小さく妻の氏に変更したいという場合には、別途手続きを取る必要があります。

「子の氏の変更」(民法791条1項)という手続きです。自らの結婚・離婚等の例外的な事情を除いて、氏や名前を変更したい場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。子供が15歳以上であれば、子どもが申立人となり、子どもが15歳未満である場合には、法定代理人たる親権者が申立人となります。

一般的な「氏の変更」は容易ではありません(「やむを得ない事情」が必要とされています。)が、離婚した際の「子の氏の変更」に関しては、即日審判する家庭裁判所も多く、容易に認められています。

なお、戸籍には、2世代まで(夫婦と子どもまで)しか入れないというルールがあります。そのため、離婚後、子どもを自分の戸籍に入れるという希望がある場合には、新戸籍を作成し(離婚届の「新しい戸籍をつくる」を選択し)、子どもを自分の戸籍に迎えることになります。

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