離婚の際に学資保険はどのように取り扱われますか。
学資保険は貯蓄型の両親いずれかを契約者とする保険であるのが通常です。
学資保険と聞くと、子どもの保険という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
確かに、「子どものため」の保険(子どもを「被保険者」とする保険)ではあるのですが、実際には両親いずれかを「契約者」とする貯蓄型の保険であるのが通常です。
勧誘の際にも、定期預金よりも利率が高く、将来の大学進学の資金を貯蓄できるということを強調されていたかと思います。
一般的な学資保険の特徴としては、定期預金よりも利率が高い代わりに、満期前に解約した場合にはその返戻金が積み立てた金額の満額の9割から7割程度(当然ながら、契約内容や解約までの期間によります)となるため、満期まで掛け続けることが前提となります。
以下、かんぽ生命等の生命保険各社が一般的に販売している学資保険(契約者が両親のいずれか、被保険者がお子様)を前提としてご説明します。
学資保険は契約者の財産として、財産分与により考慮されます。
財産分与においては、契約者は解約や満期金の受け取とりをする権利を有するのですから、保険は契約者の財産として考慮されます。
では、学資保険の財産としての価値はどのように判断されるのでしょうか。
学資保険の財産としての価値は、将来の満期金の金額ではなく、別居時点の解約返戻金を基準として算定されるのが通常です。
学資保険は、中途解約を行った場合には解約返戻金の金額は掛け金を下回ることがあります。そのため、今まで掛けてきた掛け金の総額や掛け続けた結果受け取るであろう満期金で算出した場合、現在価値と乖離する可能性があります。
離婚交渉において、学資保険は子どものものとして扱う夫婦もいます。
法律上は、両親いずれかの保険であることはご説明しました。
しかし、離婚の交渉や調停においては、学資保険は子どもを監護している側に譲渡する等、別の取り決めをする夫婦もいます。
このような取り決めは、将来のお子さんの大学進学費用を踏まえた良い取り決めですが、注意が必要な点もあります。
それは、学資保険の譲渡を受ける場合には、保険会社に事前に譲渡することで、すべての保険金(満期金、各種お祝い金)が譲渡を受けた側に支払われることを確認することです。時に、学資保険の性質上、譲渡ができなかったり、お祝い金などの一部の保険金が保険契約者の譲渡をしても譲渡人に残る場合があります。慎重に確認する必要があります。
また、学資保険を子を監護しない契約者において掛け続け、満期となった際に満期金を監護する側に支払うという約束をする方もいらっしゃいますが、あまりお勧めできません。途中で契約者が事情により学資保険を解約した場合等回収リスクが生じる約束となるからです。
解約返戻金を知りたい場合には保険会社に問い合わせをしましょう。
保険会社に依頼した場合には、現在の解約返戻金や過去の一定時点での解約返戻金を教えてもらうことができます。
あまり知られていないことですが、解約返戻金証明書の発行を受けることも可能です(離婚調停、離婚訴訟では、別居時点での解約返戻金証明書を提出するのが通常です)。
電話の問い合わせで発行してもらえるのが普通であり、到着まで通常2週間から1か月程度かかります。計画性をもって取得する必要があります。
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