高額所得者の婚姻費用・養育費はどのように計算されますか

高額所得者の婚姻費用と養育費

婚姻費用と養育費は、両当事者の収入および被扶養者の数によって、決められるため、高額所得者ほど負担する婚姻費用や養育費の割合は大きくなります。

婚姻費用と養育費は、裁判所では、簡易な算定をするために「算定表」を用いて算出することが多いです。具体的な婚姻費用や養育費の考え方や「算定表」については、こちらを参照してください。

その「算定表」を参照すると、義務者(請求される側)の収入が高ければ高いほど、また権利者(請求する側)の収入が低ければ低いほど、婚姻費用や養育費の金額が高額になっていることが分かります。

算定表の上限を超える場合にはどのようになるでしょうか。

裁判所で用いられる「算定表」(「標準算定方式」に基づく簡易な算定方法)では、給与所得者の場合には2000万円、自営業者の場合には1409万円が上限となります。

その上限を超過する所得がある場合には、婚姻費用や養育費の算定表による簡易な算定ができません。そこで、高額所得者の婚姻費用・養育費の算定に当たっては、いくつかの考え方が提唱され、裁判上も統一された算定方式があるわけではありません。

算定方式の具体例

まず、算定表の元の計算である「標準算定方式」を基礎に計算し、基礎収入割合を収入に応じて修正する考え方を紹介します。この方法は、高額所得者の中でも、算定表の上限金額を大幅に超えない場合に有用な計算方法です。

標準算定方式は、収入のうち生活費に使用する割合(基礎収入割合)を算出し、算出した生活費を権利者世帯と義務者世帯の生活指数(親を100、14歳以上の子を95、14歳未満の子を55とする)に応じて配分してすることにより婚姻費用を算定しています。基礎収入割合は、収入によって大幅に異なるため、標準算定方式では、年収500万円の人で38パーセント、年収1000万円の人で35パーセントとしています。

実際に、この考え方を採用し、婚姻費用に関して、給与収入が3817万円であった人について、基礎収入割合を32パーセントとして計算した裁判例があります。

他にも、「算定表」の上限で打ち止めにした事例、可処分所得から貯蓄率を控除したものを基礎収入として算定した事例などがあります。

養育費において子が幼児である、特別な習い事をしている等、特別な事情がある場合には別途注意が必要です。

養育費において、子が幼児であり、明らかに養育するための費用が計算で算出される養育費よりも低額である場合には、養育費が養育費の算定表の上限を大幅に超えて収入に応じて高額化するかは疑問です。

一方で、子どもが高額な学費の学習塾に通っていたり、スキー、ゴルフ等遠征が多く、費用が掛かる習い事や部活に参加している場合には、別途婚姻費用や養育費のうち教育費に係る割合を増額させる等の修正が必要です。

裁判例上も各世帯の生活実態を把握し、個別具体的に妥当な結論を導くため、様々な考え方から妥当な結論を導きやすい考え方を採用しているともいえると思います。具体的な金額は弁護士にご相談ください。

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