個人事業主や自営業者の婚姻費用・養育費はどのように算出されますか

算定表には「給与」と「自営」の収入をあてはめる項目があります。

婚姻費用と養育費は、両当事者の収入および被扶養者によって、決められ、婚姻費用と養育費は、裁判所では、簡易な算定をするために「算定表」を用いて算出することが多いです。具体的な婚姻費用や養育費の考え方や「算定表」については、こちらを参照してください。

その「算定表」を参照すると、「給与」(給与所得者)「自営」(自営業者、事業所得)の項目があり、自営業者の方が給与所得者よりも少ないは金額で、高い婚姻費用や養育費が算出されていて、自営業者が不利のようにも思えます。

実は、この差は、自営業者に関しては、「所得」すなわち売上から経費を差し引いた金額をベースに算定表をあてはめるのに対して、給与所得者は、総支給額を収入とした上で算定するため、生じる現象です。

そのため、単純に算定表の数字から自営業者と給与所得者の有利不利を比較することはできません。具体的には、算定表では、給与所得者は2割程度の職業費(スーツ代など個人負担の必要経費)が考慮されており、給与所得者の経費を無視しているわけではありません。

では、具体的に「自営」による所得すなわち事業所得の場合には、具体的にどの数字をあてはめたらよいのでしょうか。

自営業者が算定表上あてはめるべき収入金額の計算は「確定申告書」に基づいて行います。

先ほど、自営業者に関しては、「所得」すなわち売上から経費を差し引いた金額をベースに算出すると記載しましたが、具体的には次の金額をあてはめることになります。

事業所得に関しては、確定申告の「課税される所得金額」に①実際に支出されていない所得控除項目(基礎控除、配偶者控除、青色申告特別控除、実際に支払われていない場合には専従者給与等)、②支出していても養育費や婚姻費用に優先しない項目(寄付金控除等)、③算定表の計算上別途考慮されている項目(医療費控除、生命保険料控除、地震保険控除等)を加えることにより計算します。

結果としては、「確定申告第一表」の事業所得から社会保険料控除を差し引き、「青色申告決算書」から青色申告特別控除や実際に支払われていない専従者給与を加えるという計算と同じ結果となることが多いため、調停の席上では同様の計算がされています。

「確定申告第一表」「青色申告決算書」がどの書類かがご不明な場合には、国税庁のホームページの記載例をご確認ください。

事業所得と給与所得が両方ある場合は、所得を片方に変換することで算出します。

事業所得と給与所得がある場合には、所得を片方に変換して合算するという手法を取ることが一般的です。

例えば、給与所得が300万円、事業所得が147万円の場合には、算定表上事業所得147万円が給与所得200万円に相当することになりますから、給与所得500万円として算定表を活用することになります。

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